文学研究や課外活動に打ち込んだ日々が多彩な出会いをもたらしてくれた

経済産業省 黒田 真歩さん(大学案内2024)

2023/05/18

立教を選ぶ理由

OVERVIEW

経済産業省に勤める黒田 真歩さんに立教大学で学んだことなどを聞きました。

時間をかけて文学作品と向き合うことができた

舞台『十二夜』を観劇したのをきっかけにシェイクスピア作品の虜になり、作品をただ読むだけではなく、人種?ジェンダー?社会といったさまざまな角度から研究したいと思い、英米文学専修へ入学しました。当初はシェイクスピアの戯曲を研究することしか頭になかったのですが、3年次にアメリカのビート?ジェネレーションが生み出した作品に触れたことで、文学に対する見方が大きく変わりました。反骨精神あふれるアメリカ文学に魅かれ、卒業論文ではアメリカを代表する劇作家、テネシー?ウィリアムズの作品の研究に没頭。第一次及び第二次世界大戦の戦間期における社会的?文化的要素を探り出しました。原文を読み、先行研究を参照しながら論文を執筆する作業は大変でしたが、半年間1つの作品と真剣に向き合ったことで、深く文学を読み解く力が磨かれ、最後までやり遂げる忍耐力も身につけることができました。

物語の登場人物をとおして得られた気づき

私が卒業論文の題材として取り上げた、テネシー?ウィリアムズの戯曲『ガラスの動物園』は、1920年代後半から1930年代前半の不安定な時代-先が見えず、物事の正誤もあいまいな時代-を舞台にした作品です。物語に登場するのは、生活苦や就労に苦しむ息子と、身体的なしょうがいを抱えて自分の殻に閉じこもっている娘、そして過去の栄光にすがりつこうとする母親。それぞれが自身の持論を展開しており、一見すると過激な発言をしていたり、突拍子もない行動をとっていたりするのですが、彼らには人格があり、さまざまな言葉を投げかけてくれます。特に、みんなどこか欠けている部分があって、他者と補い合っている様子からは、架空の人物とはいえ人間臭く、一人ひとりの立場や考え方を尊重する大切さを感じ取ることができます。さらに、問題に対する正解は1つではないこと、視点を変えれば人生の捉え方も大きく変わることを、教えてくれました。

社会問題の解決に貢献すべく公務員の道へ

課外活動では、国際交流ボランティアで外国人留学生の学生生活や日本語授業のサポートを行ったり、しょうがい学生支援に携わったりと、さまざまな経験やバックグラウンドを持つ人々と出会う機会がありました。また、「国際協力人材育成プログラム」を受講したことがきっかけで、それまで知らなかった、日本や世界の社会?経済問題、貧困や差別、環境問題などについて、NPOやNGO等で活躍する人たちの話を聞くことができ、諸問題の解決に少しでも寄与したいと考えるようになり、公務員を志望。現在は経済産業省に勤務しており、出向中の環境省では、東京電力福島第一原子力発電所の事故後の除染作業によって生じた除去土壌について多くの皆さんに知ってもらうため、広報政策に携わっています。正確な情報を発信することが不可欠であるため、小さな案件でも気を抜かず、責任感を持って取り組んでいます。難しい仕事ではありますが、在学中に身につけた幅広い視野と粘り強さを生かし、異なる立場の人々の意見をできるだけ多く聞き、より良い政策づくりにつなげられるように努力していきたいと思います。

黒田 真歩さん

経済産業省

文学部文学科英米文学専修/2018年3月卒業

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