「Ibunka Lecture×Photographer 佐藤健寿~写真の中から異文化を見る~」開催レポート
異文化コミュニケーション学部主催イベント
2018/07/25
RIKKYO GLOBAL
OVERVIEW
異文化コミュニケーション学部公認団体 LINK CICの主催により、キャリア講演会「Ibunka Lecture×Photographer 佐藤健寿~写真の中から異文化を見る~」が開催されました。その様子を、本講演会を企画した異文化コミュニケーション学部3年次生千葉祐平さんが報告します。
本講演会ではゲストスピーカーにベストセラー写真集『奇界遺産』(2010)を著書として持ち、メディアで幅広く活動される写真家?佐藤健寿さんをお招きしました。佐藤さんの現在のキャリアに至った経緯、また世界中で写真家として活動を行う中での経験をお話しいただきました。
佐藤さんご自身のノートPCにある膨大な写真データをスクリーンに投影しながら、講演会は進行しました。ガーナのガ族の作り出す不思議な魅力のある棺桶、インドの北部に生きる頭の上に花飾りを身につける花の民ドクパの人々、日本の宗教建造物の内部、仮面をつけたパプアニューギニアの子供、ロシア北極圏に生きるネネツ族。次々と映し出される写真の世界と佐藤さんの言葉に引き込まれていきました。
雪原で遊牧生活を送るネネツ族がトナカイを解体する写真は、不思議とグロテスクさを感じさせない作品でした。この点を佐藤さんは「その土地の必然性があるので気持ち悪さがない」と表現されていました。トナカイ食に代表されるようにその土地ならではの体験の多い佐藤さんですが、体調管理を優先し、現地の味を積極的に食したりはしないと明かされていました。会場内では笑いが起きつつも、写真家としての佐藤さんの姿勢が感じられるエピソードだと感じました。
雪原で遊牧生活を送るネネツ族がトナカイを解体する写真は、不思議とグロテスクさを感じさせない作品でした。この点を佐藤さんは「その土地の必然性があるので気持ち悪さがない」と表現されていました。トナカイ食に代表されるようにその土地ならではの体験の多い佐藤さんですが、体調管理を優先し、現地の味を積極的に食したりはしないと明かされていました。会場内では笑いが起きつつも、写真家としての佐藤さんの姿勢が感じられるエピソードだと感じました。
写真家を目指してきたわけではないという佐藤さん。好きなことをひたすらやってきた結果この仕事をしていると、これまでのキャリア選択をお話くださいました。とにかく「自分が違う」と思ったことは絶対にやらなかったそうです。入社初日に辞表を提出したエピソードの例からも佐藤さんの「好きなことをやり続ける意思の力」と「自分の価値観への自信」を感じ取ることができました。
佐藤さんは、変化を求めて旅をしているわけではないので、ものの見方は変わっても自分自身の価値観は変わらない、と語られていました。色々な世界?文化を見ているとそれぞれが相対的に見えてくるため、どの文化が良いとか正しいといった考えを持ちづらくなる「東京にいる自分と変わらないこと。ネネツでも東京でもニューヨークでもフラットに人と付き合うことを大事だと思っています。」という言葉が印象に残りました。
佐藤さんは、変化を求めて旅をしているわけではないので、ものの見方は変わっても自分自身の価値観は変わらない、と語られていました。色々な世界?文化を見ているとそれぞれが相対的に見えてくるため、どの文化が良いとか正しいといった考えを持ちづらくなる「東京にいる自分と変わらないこと。ネネツでも東京でもニューヨークでもフラットに人と付き合うことを大事だと思っています。」という言葉が印象に残りました。
会場での質疑応答の一部を紹介します。
Q. 写真家として現地の人々のありのままの姿とらえるために、外部の人間として異文化に入る際、佐藤さん自身がその文化へ影響を及ぼさない工夫をしていますか?
A. 長く現地に滞在して馴染むなど写真家によって色々な工夫があると思うが、自分はそこはあきらめています。フィールドワークをする民俗学者ではないので。撮影をする自分がいること自体、そこの文化に影響を与えてしまうのが当たり前と思っています。自分が介在しないかのように撮影するのはおごりなのではないかと思っています。
花の民は写真を撮るときに睨んでくる。そこを笑ってもらうのは違うのではないかと。そこは撮影者のジレンマがあります。
Q. 今、訪れるべき、地域はどこですか?
A. ロシアですね。冷戦時代の名残で情報がない。東側は巨大な空白になっています。未だ開拓されていない地域が多いので、面白いと思います。
Q.様々な民族と出会った経験上、人間には世界共通の特徴はありますか?
A.お金が好き。これは半分冗談半分本気で言いました。
少しずれますが、秘境の民族の撮影というと、彼らは気持が清浄だから撮らせてくれるという旅人幻想があると思います。心が通じ合って撮らせてもらいました、という切り取り方。結局、? 辺境の少数民族を被写体にする際、お金を払っているのか?という問いは偏見から出るものだとおもいます。東京でモデルに撮影料を支払うように、要求されなくても支払うべき。どこに行っても撮影する被写体に対しての自分の価値観は変わらないと考えています。
A. 長く現地に滞在して馴染むなど写真家によって色々な工夫があると思うが、自分はそこはあきらめています。フィールドワークをする民俗学者ではないので。撮影をする自分がいること自体、そこの文化に影響を与えてしまうのが当たり前と思っています。自分が介在しないかのように撮影するのはおごりなのではないかと思っています。
花の民は写真を撮るときに睨んでくる。そこを笑ってもらうのは違うのではないかと。そこは撮影者のジレンマがあります。
Q. 今、訪れるべき、地域はどこですか?
A. ロシアですね。冷戦時代の名残で情報がない。東側は巨大な空白になっています。未だ開拓されていない地域が多いので、面白いと思います。
Q.様々な民族と出会った経験上、人間には世界共通の特徴はありますか?
A.お金が好き。これは半分冗談半分本気で言いました。
少しずれますが、秘境の民族の撮影というと、彼らは気持が清浄だから撮らせてくれるという旅人幻想があると思います。心が通じ合って撮らせてもらいました、という切り取り方。結局、? 辺境の少数民族を被写体にする際、お金を払っているのか?という問いは偏見から出るものだとおもいます。東京でモデルに撮影料を支払うように、要求されなくても支払うべき。どこに行っても撮影する被写体に対しての自分の価値観は変わらないと考えています。
佐藤さんと400名を超える参加者との間に一体感が感じられる充実した講演会となりました。講演会後の参加者アンケートから寄せられた声を紹介します。
?テレビでは聞けないお話を直接聞くことができて、とても楽しかったです! 頭に花を飾る民族の方たちの写真を見て、笑っていないしむしろ睨んでいるけどとても美しいなと思いました。 お話の中で、?民族を取材する時お金を払っているのか?という問いは偏見からくるものだ、とおっしゃっていたのを聞いて、なるほど自分もそんな風に自然と偏見を持っていたかもと気付かされました。 自分が知らない世界はたくさんあるのだとわかり、もっと異文化について知りたくなりました。
?人類学を中心に学ぶ自分にとって何かきっかけになればと思い参加をしたのですが、日本ですらまだまだ対象になりえる地域があることを再認識できました。これからの学習に役立てたいと思います。
?人類学を中心に学ぶ自分にとって何かきっかけになればと思い参加をしたのですが、日本ですらまだまだ対象になりえる地域があることを再認識できました。これからの学習に役立てたいと思います。
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異文化コミュニケーション学部3年 千葉 祐平さん
当初の予定を大幅に上回り、400名超の参加をいただきました。佐藤さんから直接話が聞きたい、という想いから始まった企画が大きく育ちました。LINKCICからも30人のメンバーが運営にあたりましたが、大学内外のからも多くの方々にご支援いただきました。この貴重な経験を多くの人と分かち合えたことをうれしく思います。最後に、私たち学生のオファーを快く引き受けてくださった佐藤健寿さんに大変感謝致します。